TS125RR 排気デバイス③-2 本格清掃(排気デバイス清掃組立) スズキ
スズキのかつての2ストロークの排気デバイスは何であるかというと、変わった種類の排気ポートの穴の大きさを変えるバルブである。動きは、出たり入ったりのピストン型である。2ストロークの末期のエンジン出力の調整デバイスである。本来2ストロークにはバルブはなかったのであるが。
排気ポートがシリンダーの出口にあり、その穴は縦に2つに仕切られていて、その二つの穴の上部をふさぐようにピストン型のバルブが配置され、回転が上がるとあくようになっている。悪といってもピストンのようにスライドして、抜けてくる感じである。低回転では、排気のタイミングが、ピストンがシリンダーのより下部にきてから排気されるということである。
これで、それまでの2ストロークの低速でのもたつきを減らして、高回転域での出力出すことができるわけで、低速側のチューニングと高速側のチューニングが一つのエンジンに入っている理想の2STに仕上がっている。
下の写真マフラーチャンバー側から見たところである。
二枚の歯が、排気ポートの上部をふさいでいるのがわかる。通常はこうなっている。基底の状態といえる。不完全なエンジンである2STでも、安定したアイドリングが得られる。昔のハスラーやDTのようなアイドリングでのパンポンパパンなど様な、不規則なリズムのアイドリングはしない。マフラーも音が小さく抑えられていて、ルルルとしか聞こえない。しかし、このバルブのおかげで走りは、トルクフルで、パンチもきいていて、低速から高回転まで、伸びやかというより、強烈だ。下道ではストレスなく走れる。ダートでは、怖くて控えめにスロットルしている。ダートでのコーナーでの、タイヤの跡は、ジェベル125とは明らかに違いTSのものは太くて深い。強くけりこんでいるので。
次の写真は、排気バルブが開いた状態である。
これで、排気ポートは全開である。昔は、ポートの穴の大きさを削ってチューニングしたようであるが、この排気バルブがついたせいで、その必要はなくなった。低回転から、高回転までカバーしているのである。しかし、今となっては、絶滅した2STの技術である。南米向けのハスラーは、昔のまま、売られていて、国内でも手に入るようである。ただし型式はTS125ではなく、TF125であり、一人乗り仕様で大きい荷台がある。ハスラーのイメージはない。別物である。
TS125K,TS125Lの前記型では、そのバルブが1枚スライドして排気のタイミングを図っている。 後記型の-N,M,P,Rは2枚のバルブが、中、高回転域で、順番に開いていく。それぞれ制御バルブは2分割、3分割である。
人気は前期型とネットでは書いているところもあるがが、後期でも十分なパンチ力で、もう少し早くから徐々にあいてほしい気もする。これは、タイミングは変えられるので後で調整することとする。
購入した時から気になっていた排気バルブは、購入時は動かなくなっていた。バルブの固着ではなく、シャフトを動かすプーリーの固定ねじが外れていたためだ。またバルブの固着の点検で、カバーだけ外してねおたふくソースを清掃し、プーリーの調整を行うことで、動くようになった。その後少し走ったがすでにソースまみれである。これは気にしてはいけないのかもしれない。原因は油ではなく、カーボンである。これが固着の原因と確信している。逆に黒かろうがオイルがなければ動きは悪く、焼き付きの心配がある。もちろん、オイルの粘土が高いと、ピストン型の排気バルブは摺動できず、重くなると考えられる。
次にシャフトを抜く。3本のトラスこねじがありますがこれをショックドライバーで緩めます。このねじは、接着剤で止めてあります。
ショックドライバーは、大きい鉄の塊のものは使いにくいので、TS用に小型のものをホームセンターで見つけてきました。時代の進歩です。
上の一本は、ばねの抑えにもなっています。取れました。ばねはOKのようです。
今回は交換せず次回交換するつもりです。
下の2ほんのビスを外すと、排気バルブが取り出せます。固着はしてません。ムニュ。
一本のピンで連結されています。
シリンダー側の面はさすがにカーボンの堆積があります。
三分割型の後期型の排気バルブを分解。
パーツクリーナーを吹きますが、油が多いので、ウエスで最初から拭いたほうがよかったようです。
清掃しても跡は取れません。模様が残ります。手前はこれから清掃です。
この程度で清掃はやめておきます。
シリンダー組み付けまで一時保管。
あとは、油を薄く塗って組み立てるだけ。3本のねじには、接着剤を入れておきます。